居抜き物件の
メリット・デメリットとは?
居抜き物件のメリットは、新たなテナント様の初期費用が大幅に下がることです。
通常スケルトンの物件から飲食店を作ろうとしますと、10坪程度のお店でも施工費だけで700万円前後かかります。ダクトと呼ばれる排気設備を屋上まで設置しようとしますと、それだけで200~300万円の工事になります。
居抜き物件の場合、「造作価格」を前のテナント様に支払うことで、すでに設置された設備・機器・内装などをそのまま引き継ぎできますので、初期費用が半分以下になることもあります。また、居抜き物件では施工期間も大幅に短縮できる為、「家賃を支払っているが営業できない」とう期間が極端に短くなります。前のテナント様においても、通常の撤退であれば「原状回復義務」に則って店舗をスケルトンに戻すところが、新たなテナント様に居抜き物件として引き継ぐことができます。
スケルトン工事は、おおよそ坪あたり7~10万円が相場で、2週間程度の工事期間中にも家賃が発生します。20坪で家賃が30万円の物件でしたらば、スケルトン工事で▲140万円+0.5ケ月分の家賃で▲15万円=合計で▲155万円のスケルトン工事費用が居抜き物件なら「ゼロ」になりますので、大きなメリットと言えます。
居抜き物件のデメリットは、引継ぎの際のトラブルです。
特に、多いのは「厨房機器類の故障」「食材・私物などの残置物」ですが、一番厄介なのが「埋設された排水管からの漏水」「リース契約の引継ぎ」です。
これらかを解消するためにも、居抜き物件の取り扱いに得意な業者に事前にご相談されることをお勧めします。居抜き物件の仲介にかかる手数料は、賃料の1ヶ月分~30万円程度が相場です。
居抜き物件の選び方とは?
居抜き物件の選び方としては、大きく3つポイントがあります。
①造作価格
造作価格は、
前のテナント様に支払う費用です。使用年数が浅く、状態が綺麗であれば価格は高くなる傾向にあります。ただし、使用年数・状態以外にも「立地の良し悪し」「賃料」「前テナント様の収益」なども大いに影響してきます。状態が悪い居抜き物件でも、賃料が極端に安かったり、前テナント様が黒字であれば、造作価格が高く設定されていても不思議ではありません。造作価格が適正か否かは、複合的な要素から判断されることをお勧めします。
②設備関連
ご希望条件に合った良い居抜き物件に出会えた時は、誰もがすぐに契約をしたくなるものです。特に居抜き物件は人気が高いので、急ぎませんと他に取られてしまいます。お申し込み書の提出は早ければ早いほど良いのですが、契約前には
施工業者様と現地調査を行うことをお勧めします。前のテナント様が飲食店を営業されていたからといって、新しいテナント様も営業できると限りません。契約したものの、「電気容量・ガス容量が足りません」「給気排気が足りません」「消防署・保健所の許可が下りません」といった事態を招かない為にも、設備関連の調査は、しっかりプロの方に見てもらってください。
③厨房機器
居抜き物件で最も重要なことは②の設備関連ですが、次に大事なのが
厨房機器です。不動産業者様や家主様は、店舗を賃貸することについては責任をもってくれますが、前のテナント様から承継するものについては一切関与してくれません。つまり、引き渡しの時に冷蔵庫が壊れていたり、内見時にあった物が引き渡しの時に無い等の場合も、すべては自己責任で終わってしまいます。前のテナント様は、引き渡しが完了すれば一般的にはどこかに行ってしまいます。「
資産一覧表の作成」「
引き渡し時の動作確認」「
リース物品の有無」を明確にされておく方が良いです。
東京の居抜き物件事情
コロナ禍によって多くの大型店舗が廃業に追い込まれました。大手外食チェーン店も、宴会需要が伸びない今、小規模の店舗での出店を加速している傾向にあります。個人の方が出店しやすかった10~15坪程度の居抜き物件は、前にもまして人気が上がってきています。
一方で、賃料が安い物件はその分損益分岐点が低いため、高齢・体調不良などといった理由でなければ、現テナント様が物件を手放すことはありません。
つまり、居抜き物件の需要と供給のバランスは崩れていると言えます。その結果、居抜き物件の価値が高まり、造作価格が上昇してきています。
この状況はしばらく続くものと思いますが、造作価格が高いからと言って諦めず、「この条件なら契約します」という希望条件をお申込書で提出しておけば、現テナント様の状況が変わって契約できるケースもあります。良い物件と出会えた時には、どうすれば契約ができるのかを一緒に探ってまいります。